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横丁・スナック・朝市…ディープな冒険がしたければ、八戸へ行くべし!

青森県八戸市は、本州の最北端である青森県の南部地方の中心都市。海にも山に面しているので海の幸も山の幸も楽しめ、かの「B-1グランプリ」の発祥の地でもある、くいしんぼうにはたまらない「まち」であります。

人と人との距離がなぜか近くなる八戸
普通列車ですら、何かが違う!

 青森では二番目の人口を誇り、漁業の盛んな都市として、また東北地方有数の工業都市として知られていますが、「地理の授業で聞いたことがあるかな?」程度の知識しかない方も多いことでしょう。それはもったいない!!八戸は、人と人との距離が近く(観光客であろうと地元民であろうと)、知れば知るほど、掘れば掘るほど、飛び込めば飛び込むほど、魅力がいっぱいのまち!あったかい「人」と、距離が近くなる「場」が、とにかく豊富なまちなのです。

 まず手始めに、八戸と岩手県久慈市を結ぶ八戸線を走る「リゾートうみねこ」(運行日限定)。なんと、驚きの座敷ボックスなのです。

相席になったら、とりあえず「ビールでも飲みます?」「このお菓子おいしいですよ」と、話しかけたくなるのが座敷マジック。しかもこのリゾートうみねこ、特急でもなんでもなく、ごく普通の鈍行列車だけに、のんびり揺られているうちに心も身体もリラックスして…イマドキ流行りの相席居酒屋よりもよっぽど人と人との場が近くなる、驚愕の列車なのでありました。

おそるべし横丁マジック!
横丁に行けば、いつの間にか誰でも八戸の一員

 八戸は、横丁の多いまちでもあります。八戸で最もにぎやかなのは、本八戸駅から徒歩15分ほどの地域。さほど広くないエリアに、なんと横丁が8つ!横丁の店は多くが7~8席で、小さな店で肩をひしめきあうようにしてカウンターに並ぶスタイルなので、必然的に隣の人と話すことになります。

どうです、この風情。そそる外観でしょ?横丁と言っても、どの店もとても清潔感あふれるので、「汚い店ばっか、おっさんばっかじゃないの?」という恐怖とは無縁なので、ご安心を。

今回お邪魔したのは、みろく横丁にある『むつみなとの「マンキ食堂」』。やはり8人も入れば満席です。ここに女ひとり(ワタクシ)、勇気を出して突撃してみましょう。

横丁と言えば「おでん」。八戸は北国のためか、おでん屋さんや、おでんを看板にしている店がたくさんあります。今回出かけたのは12月初旬なので、まさにおでんがほしくなる季節。「では1人前を適当に盛り合わせで」と注文すると、この大盛り。ひとりでは食べられませーん!

しかし、ご安心を。この横丁では、何か頼むたびに、「おっ、それおいしいよ!」「この店に来たらコレ頼まなくちゃだめだよ!」と合いの手が入り、おすそ分けの品々があちこちからやってくるのが普通。ということで、私もお隣の人におすそ分け。ひとりで行っても、最小限の注文でいろいろと食べることができる、素晴らしい横丁の距離感であります。

八戸はサバが名物。ということで、おすそ分けしてもらったサバのへしこ。サバをぬかでつけたもので、絶品!日本酒に合う!!

すかさず日本酒を頼むと、こんなにたっぷりと。日本酒への愛と量なら負けていない!と自負しておりましたが、八戸の方は、みなさん、お強いんですね…(敗北)。

特においしかったのが、地元・八戸酒造の「八仙」。サバのへしこの濃厚なうまみにも負けないコクがあり、日本酒好きにはたまらないおいしさ。お客さんに薦められ、思わず帰りにお土産に買って帰りました。

最初に入るときこそちょっぴり勇気が必要だったものの、地元のお客さんもお店の人もとてもあったかく、すでに自分がひとりで飲みに来ていることすら忘れるような状態で盛り上がっていたところ、「せっかく八戸来たならこれ食べなきゃ」と、目の前に登場したのは「せんべい汁」。そう、あの「B-1グランプリ」でもグランプリを受賞した、八戸の名物ですよ!!

「やったー!」と喜んだものの…

こんな大きい丼に。

どーんと。食べきれません。

「せんべい」は、なんとなくどろどろに溶けているイメージがあったのですが、しっかりした歯ごたえ。食べごたえ満点です(ふだんは嬉しいことですが、この時だけは涙)。しかし、地元の人のご厚意を無駄にしてはならない…!と必死に頑張ったのであります。

お店の方も、初めて来た飛び込み客の私を気遣って、自然と会話ができるようにしてくれる、あったかいお人柄!この「マンキ食堂」は、この横丁の中でも老舗で、若旦那のお父さまが経営していたお店を継いだとのこと。この若旦那さんは無口で黙々と仕事をしているのに対し、お嫁さんが元気が良くて気さくで、お話しているととても楽しい!途中で、若旦那のお父さまが飲みに来た(!)のですが、「息子は無愛想なんだけどさー、いいお嫁さんもらってホントありがたい~!」とおっしゃるので、今日初めて来たばかりだというのに、「おとうさん良かったですね~!」なんて、図々しくもホロリとしてしまったのでありました。あっという間に身内のような気分になる八戸横丁マジック、おそるべし。

無口だけどとってもやさしげな若旦那さんと、明るく気さくなおかみさん!また必ず来ます~!

第2ラウンドはスナックへ!
地元ならではの情報を聞き出す方法、教えます

あちこちに旅や出張に行くことが多い私は、旅先でスナックに行くことを至上の楽しみにしております。スナックは、地元情報の宝庫。スナックで知り合った人から聞き出した情報をもとに、翌日のスケジュールを決めることも多々。この法則を八戸でも実行しようと、すっかりできあがった私は、マンキ食堂の若旦那さんに「スナックにこの後行きたいので、私ひとりでも大丈夫な店をおしえてけろ」と大胆にも要請。若旦那さんはその風貌を裏切らないとてもやさしい方で、「初めてきた人にはわかりにくい立地だから」ということで(酔っ払いが手におえないから、かもしれない)、わざわざ店まで連れてきていただきました…!ありがとうございます!若旦那さん!!!

八戸は、かなり夜の遅いまち。翌朝、6時くらいにホテルを出ましたが、まだまだ夜が続いている店があったり、ようやくお店を出てくるお客さんに出くわしたり。まちの規模に比べて、店が多いんですね。

さすがにスナック内は撮影できませんでした(酔っていてそれどころではなかったという説もあり)。若旦那さんから紹介してもらったスナックともう一軒、さらにはしごして計2軒のスナックに行きましたが、どちらもビールを飲み、最低限のセット料金と思われる良心的な値段でありました。

ここでゲットした情報が、「朝市に行くべし」。中でも、最大規模の館鼻岸壁朝市は、いろいろな店があるうえに、港から昇る朝日が素晴らしいとのこと…!酔っ払いながらも、明日は絶対早起きしよう!と誓ったのでありました。

スナックは、決して怖くないのです。思い切って飛び込むべし。

八戸の朝市は、朝ごはんを食べにくる!?
地元の人による地元のためのハートフル朝市!

昨晩、スナックで酔っ払いながらもしっかりと聞き出した情報を有効活用すべく、翌朝はシャキッと6時前には起きてタクシーで繁華街から15分ほど離れた館鼻岸壁朝市へ。前日に聞いたスナックのママとお客さんの話によると、

「よく観光地にあるような、新鮮な魚介を買って、それをその場で丼にして食べたりして、海の幸満喫!というような朝市ではないよ。地元の人が朝ごはんがてらに晩ごはんのおかずを調達するような朝市だけど、それでもよかったら」

とのこと。地域に来て、観光客のための朝市に行ったって、当たり前すぎておもしろくありません。地元民による、地元民のための朝市ならば、それこそが貴重な地域資源。まさに、望むところ…!

到着したのは、ようやく夜が明けてきたころ。スナックで聞いたとおり、すばらしい朝日です。昨日のアルコールがまだ残っている身体に鞭打って、頑張って早起きした甲斐があった!

話に聞いていた通り、港町の朝市と聞いて思い浮かべる、刺身などの鮮魚はありません。魚介で目立つのは、地元のごはんには欠かせない干物が中心。

鰈や干し鱈の干物が目立ちます。買って帰りたいけど、売られている単位が大きすぎます…(涙)

もちろん、野菜も売っています。ごくごく一般的な野菜もありますし、青森と言えば、やはり名産のにんにく!東京で見かける国産にんにくとは比べ物にならないくらい安くて驚きましたが、やはり売られている単位が大きすぎます…(涙)こんな大量のにんにくがガンガン売れていくのを見て、八戸の人がお酒と夜に強い理由が少しわかりました。

農家のおかあさん手作りの漬物もとてもおいしそう!常連さんが多いようで、世間話をしながら売れていきました。

まさに、地元の人による、地元のための朝市で、気取らないお店がいっぱい。自宅に買って帰れないのがちょっぴり寂しいですが、それでも楽しめるのが八戸の朝市!ここには、朝ごはんがてらにやってくる人が多いと聞いていただけあって、たくさんその場で食べられるお店が出ているのです。

おでんなど、あったまる料理は各店より取り見取りで、どれを食べようか迷ってしまう!その場で食べても良し、おかずとして持ち帰りもOK。

東北と言えば、味噌だれにつけて焼いた五平餅や焼き豆腐も。その場で食べると、香ばしさがたまりません!

お惣菜や炊き込みご飯、巻き寿司など、ふだんのごはんにピッタリのお店もいっぱい。食べ歩きを楽しみながら今日の晩ごはんを調達しているという、スナックで得た情報通り!もちろん、その場で食べることもできます。

せんべい汁だって食べられます。

あったまるといえば、甘酒!

本格的なコーヒーの店も多く、たくさんの人で賑わっていました。この朝市は、コーヒーを飲みながらぶらぶら見るのが「通」なのかしら?と真似してみたり。

そんなこんなでふらふらしていると、お腹が空いてきました~。ふと見ると、たくさんの人がうどんをすすっている。うどん!立ち上る湯気がたまらん!こんな寒い日はうどんにそそられます!

狭いスペースながら手際よく作られたうどんは、だしがしっかりと効いていて、スープもしっかり飲み干したくなる味。

港町で一心不乱にうどんをすする…ちょっとシュールですが、白々と明けていく港町の空の下で食べると、いつもの何倍もおいしく感じます。これぞ、朝市の醍醐味!

夜がすっかり明けて、青空が広がると、夜が遅いくせに朝もやたらと早い、元気な八戸の朝市は、もう終盤。この写真は、最後まで行列が途切れなかった、一番人気のから揚げ屋さん。タクシーの運転手さん曰く「八戸の食卓に、買ってきたから揚げは定番」とのことで、たくさんのから揚げ屋さんが出ていました。食べ比べをして、気に入った店を決めて、買っているんだろうなぁ~豊かだよなぁ、としみじみと感じ入ったのであります。

気が付けば、人と人がすぐそこに!
人と人とがつながって、まち歩きが楽しくなる

朝市のお店の方々も、とっても気さくで、次は一緒に甘酒を売る約束をしたり、から揚げの味の違いを教えてくれたり。港町で飲むコーヒーのおいしさ、うどんの香り、甘酒のしみじみとした甘さ、味噌の香ばしさ、すべてが素晴らしい体験でしたが、どれもこれも最初に八戸の横丁で「人」とつながったのがきっかけ。しかも、肩肘張らずに自然とつながることができるのが、八戸の魅力です。いつの間にか八戸で生まれ育ったような気になる、そんな「まち」に飛び込んでみませんか?

植松織江

植松織江

コピーライター、プランナー

某夕刊紙の競馬記者、広告制作会社を経て、株式会社ペンダコとして独立。特技は「そのへんに転がっている親父にもわかりやすい文章を書くこと」。 競馬記者時代から単身での地方出張が多く、どこでもごきげんに酒を飲める。自分で会を主催するほどの落語好き。ウルトラランナーでもある。
植松織江

植松織江

コピーライター、プランナー

某夕刊紙の競馬記者、広告制作会社を経て、株式会社ペンダコとして独立。特技は「そのへんに転がっている親父にもわかりやすい文章を書くこと」。 競馬記者時代から単身での地方出張が多く、どこでもごきげんに酒を飲める。自分で会を主催するほどの落語好き。ウルトラランナーでもある。