図1

「足あと以外、全部食べる」沖縄料理の魅力を再発見できる豚料理店!

「豚は、足あと以外ぜんぶ食べられる」

そんな格言があることをご存知でしょうか?
沖縄では豚は古来より、「食文化」の重要なひとつとして重宝されてきました。

ラフテー(豚の角煮)
ソーキ(豚の軟骨付きあばら肉)
ミミガー(豚の耳皮)

などの豚の沖縄料理を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

そんな沖縄に、島豚を専門に料理するお店があります。お店の名前は『満味』

沖縄のやんばる(北部)生まれ、やんばる育ちで、やんばるの食文化をこよなく愛する満名匠吾さんが作ったお店です。

プロシェッショナルとして、食文化の「原点回帰」にこだわる

一口で豚といっても、さまざまな種類がありますよね。
やんばるには、「やんばる島豚」という豚が育てられています。
東京都内でも食べられるお店は珍しく、琉球在来豚のアグーと黒豚をかけ合わせた豚です。

満名さんが作ったお店『満味』は、このやんばる島豚との出会いがきっかけで誕生しました。

img-04

満名
やんばる島豚は、あまりにも美味しく、口にした瞬間に、この豚をコンセプトにしたお店づくりをしようと決めました

その中でも特に我那覇畜産は、『ブランド品種だからおいしい』ではなく、おいしいのは当然で、琉球在来種の血統を守りながら、畜産業として成り立つような仕組みを追求していました。

その姿に感銘を強く受けたんです。

かつてバーテンダーの修行をしていたこともある満名さん。
満味が食材の生産者の姿を伝えることを大切にしているのは、バーテンダーの修行に出た大阪で、人生の師とも呼べるバー「IST」のバーテンダー高村光有さんからもらった言葉にあります。

満名
昔、大阪にあるバー『IST』というお店で修行をしていました。『IST』とは、物事を極めた人たちのこと。

彼らがこの場所が”羽を休める宿木”となるように、自分たちもスペシャリストでなければいけない。

だからこそ、お酒を愛し、歴史を知ること、そして、作り手の想いをきちんと伝えることが仕事において大切なのだと教わりました。

やんばる島豚も、琉球時代からの『食』の歴史が詰まっていますし、作り手のこだわりを料理にも込められると思いました。

逆風の中、満味をオープン

img-02

満味をオープンした2003年は、九州・沖縄サミット(2000年)で石垣牛が振る舞われたり、沖縄県内でも「豚はもう食べ飽きたよね」と言われていたりと、逆風が吹きすさぶ中でした。

満名
豚肉料理は飽きた、とは言うものの、豚は細分化していくと、まだまだ食べられる部位があり、新しい食べ方があるんじゃないかと感じていました。

胃袋は?
心臓は?

命をいただくということは、どの部位であっても、おいしく食べられるように調理して、提供することじゃないのかと思ったんです

そう考え立ち上げた満味は、あえて島豚にある16種類の部位をメニューの中心に置きながら、新しい豚肉料理を研究して提供するお店へと成長していきます。
さらに、地元の沖縄県民にも、豚の良さを再確認してもらえるような体験を提供する場になっています。

満味のメニュー表には交配図がある。やんばる島豚とは、琉球在来種アグーとデュロックの雌とバークシャーの雄を交配した黒豚のかけ合わせた豚。琉球在来豚の血統を75パーセント以上受け継ぐ。

満味のメニュー表には交配図がある。やんばる島豚とは、琉球在来種アグーとデュロックの雌とバークシャーの雄を交配した黒豚のかけ合わせた豚。琉球在来豚の血統を75パーセント以上受け継ぐ。

生産者の声を伝えるために、「食」でつながるコミュニティを立ち上げる

豚料理専門店「満味」を通じて生産者の想いを届けている中で、満名さんは一つの壁にぶつかります。

満名
満味のお店に来てくれた人に伝えるだけでは、やはり限度があるんですよね

生産と消費にある溝を埋めるために、自分たちの足元にある資源を見直して、知恵を出し合えるコミュニティが必要だったんです。
お互いに、豊かに暮らしていくために、と。

「やんばる畑人プロジェクト」では、生産者・加工業者・飲食店・住民・専門家などが「食」でつながっている。沖縄の方言で畑人とは、「はるさー」といいます。

「やんばる畑人プロジェクト」では、生産者・加工業者・飲食店・住民・専門家などが「食」でつながっている。沖縄の方言で畑人とは、「はるさー」といいます。

そこで、「沖縄畑人(はるさー)くらぶ」という就農者で集まっていた団体を運営する芳野幸雄さんらともに「やんばる畑人(はるさー)プロジェクト」を立ち上げました。

2010年に始めたこの活動は、生産者と飲食店の壁を超えて交流しているのが特徴です。
違うバックグラウンドを持っているからこそ生み出される知恵を活用して、より多くの人に関心を持ってもらうこと。

『何もない』ことを、地域のせい、時代のせいにせずに、食のつながりを通してやんばる流のおもてなし“Spice of life”を目指しています。

伝えるだけじゃ足りないから、生産者に会えるお店を新しくオープン!

島豚料理店『満味』と、やんばる畑人プロジェクトを立ち上げた満名さんの次の挑戦は、生産者と消費者を直接つなぐことです。

「ピクニックスタイル」と名付けた、生産者の元へ足を運び、食材と向き合うことを通じて「食」について学べるフィールドワーク型のプログラムがあるお店『One Life』のオープンを予定しています。

「One Life」のオープンは2017年春を予定しています ※2016年12月時点

「One Life」のオープンは2017年春を予定しています ※2016年12月時点

満名
『One Life』では、やんばる産の食材を使った料理を味わうだけでなく、やんばるの英知を伝え、「食」を通して人と人をつながるような取り組みにできればと思っています

産地が近いにも関わらず、生産者の顔やつながりが見えるお店は、まだ多くありません。
生産者のみなさんこそ、陽の目を浴びてほしいんです。

One Lifeでは、食材とその生産者、料理人の全てをやんばる産で提供する、オールやんばるスタイルのお店にすると、満名さんは言います。

バーテンダー時代に師匠からもらったプロフェッショナルであること。
そして、やんばる産の食材とその作り手の想いを伝えたいというこだわり。

満名さんの挑戦はこれからもどんどん進化していきます。
沖縄を訪れる機会があれば、ぜひ最新の挑戦を応援しに行って下さい。

水澤陽介

水澤陽介

ライター

1987年生まれ。大学卒業後に、ホームページ制作を経て、化粧品ベンチャーに入社。営業から商品発注、店舗の管理などを幅広く担当。 その後、沖縄に移住して地方の魅力にとりつかれる。県内外の雑誌、ウェブメディアでライターとして執筆。その他、イベントの企画、コーディネーターを行っています。
水澤陽介

水澤陽介

ライター

1987年生まれ。大学卒業後に、ホームページ制作を経て、化粧品ベンチャーに入社。営業から商品発注、店舗の管理などを幅広く担当。 その後、沖縄に移住して地方の魅力にとりつかれる。県内外の雑誌、ウェブメディアでライターとして執筆。その他、イベントの企画、コーディネーターを行っています。