はるお3

日本の医療難民を解決!?ナース服を脱いだ看護師”コミュニティナース”に挑戦する24歳

コミュニティナースとして今後の活動目標をプレゼンする佐藤春華さん

コミュニティナースとして今後の活動目標をプレゼンする佐藤春華さん


地域づくりをしたい、だからまずは看護師として働く

佐藤
看護学生の時代に、まちづくりや地域づくりといった、看護の世界とは全然違う世界に心惹かれてしまったんです。でも、自分にはせっかく看護師になるチャンスがあるんだし、地域づくりの世界に看護師がほとんどいなかったことも、いつか自分が活躍できるチャンスが来るんじゃないか、そんなことを漠然と考えていました。



そう話すのは、看護師2年目の佐藤春華さん。

佐藤さんは大学卒業後、病院の中でも高齢者の入院に重きを置いた療養型の病院で働き始めます。ここでは、治療や投薬をなるべく少なくして、高齢者が豊かな毎日を送れるようにすることを目指している病院でした。

そこでは、病気の人の日常をいかにして充実させるかということについて、多くのことを学べたそうです。

しかし病院で働きながらも、病院の外の日常の世界をもっと充実させる地域づくりにチャレンジしたい!という想いは心の底で渦巻いていたそうです。

佐藤
病院では自分のやりたい「地域づくり」はできないと思っていました。でも、病院で働いたこともないのにそう決めつけるのは嫌でした。だから、病院で働きながらでも何かできないか、そう思いながら病院で働いていました。

そうした悶々とした想いを抱えていた佐藤さん。ある時、大学の先輩を通じて出会った人から、島根県で働く面白い看護師がいるという噂を聞きました。

その人が、島根県雲南市でコミュニティナースとして、地域づくりと看護を両立している矢田明子さんでした。

綾部で見つけた「病院の外」での働く道


綾部市にて、地元の方との交流を通じて健康の秘訣や課題を探す様子

綾部市にて、地元の方との交流を通じて健康の秘訣や課題を探す様子

佐藤
矢田さんとの出会いは「看護師と地域づくりを両立する働き方をしている人がいる!」という、私にとって衝撃的な体験でした。



その後、佐藤さんは矢田明子さんが講師を務める「コミュニティナース育成プロジェクト」の存在を知ります。

これは2016年4月から9月までの半年にわたって、佐藤さんを含めた12名の看護師が一期生になり、ワークショップやフィールドワークを通じてその活動がどういうものなのかを学ぶ講座です。

佐藤
講座の中でも印象的だったのが、京都府綾部市の中山間地域で行われたフィールドワークでした。


フィールドワークの最後に綾部市の人に向けて 発見した地域の魅力や自分のやりたいことを宣言する様子

フィールドワークの最後に綾部市の人に向けて
発見した地域の魅力や自分のやりたいことを宣言する様子

佐藤
地域のおじいさんやおばあさんたちが温かく迎え入れてくださいました。初対面でヨソモノである私に、『絶対またおいでね』『また帰ってきて』などと話してくれる姿に温かさを感じ、心を打たれました。



フィールドワークで地域の人たちと触れ合うことで、佐藤さんは病院以外での看護師の働き方を具体的にイメージすることができたそうです。

特に驚いたのは、これまで切り離して考えていた「地域」と「看護師」をつなげる働き方の可能性。

「やっぱり看護師の目線を持って地域に入れば、看護師の働き方の可能性を広げられる!」

と確信したことが綾部での挑戦へと彼女の背中を押しました。

仲間と共に活動の振り返りをする様子 自分の学びを仲間とシェアしてより学びを深めています

仲間と共に活動の振り返りをする様子
自分の学びを仲間とシェアしてより学びを深めています


綾部でコミュニティナースが育つモデルケースを作る

佐藤
私が実践し、社会に提案することで、コミュニティナースの存在が社会にもっと広まったら、自分らしく生き生きと働ける看護師が増えるのではないでしょうか。



佐藤さんが目指すのは、コミュニティナースという名前の通り「地域のナース」。

地域住民が「ここが心配なんだけど…」と相談しやすい距離にいる人や、そうした場をつくることができるナースを目指します。

コミュニティナース育成プロジェクトの第1期の修了式 受講生に加え、綾部市の方やお医者さんなど多くの方が来てくれました

コミュニティナース育成プロジェクトの第1期の修了式
受講生に加え、綾部市の方やお医者さんなど多くの方が来てくれました


今、日本は「2025年問題」を抱えています。2025年頃までに、団塊の世代が後期高齢者になるのです。

自宅と病院という二択だけでは地域の健康を支えきれなくなる可能性が心配されています。

来年度から京都府綾部市に移住をして、コミュニティナースのモデルケースづくりに挑戦する佐藤さん。

彼女の挑戦は、綾部だけでなく日本各地でこれから直面する自宅と病院だけでは支えきれない、という医療課題の解決の糸口になるかもしれません。

自宅と病院の間である「地域」で活動するコミュニティナース、その活躍する土台づくりのフロントランナーを応援してみませんか?