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「働くこと」をテーマに南丹市・八木の良さと課題を知りたい!

自然に囲まれた田舎でのびのびと生活することは、忙しない日常を送る都会暮らしの人たちにとってとても魅力的に映ります。最近ではメディアでも田舎暮らし特集が頻繁に見られるようになりましたね。
しかし、その一方で「限界集落」「少子高齢化」といった問題も耳にします。
今回の「まち冒険」では、地方の暮らしの良さと課題の両方を知って、メディアで取り上げられているような表面的な情報だけではなく、現場の人の実感に耳を傾けてみたいと感じました。
「働く」をテーマに地域で働く人々、まちおこしに取組んでいる方々にお話を伺いました!

トモエヤスポーツ 廣瀬 久士さん

八木町本町商店会会長を務め、スポーツ用品店を営む。バレーボールや合唱など多くの趣味をお持ちです。八木町の栄枯盛衰を語るキーマン。

「ほとんどが個人営業の商店街は、1994年ごろが最盛期でした。
しかしその後店の数は減り続け、かつて40数軒あった商店街には今や17軒しかありません。最大の原因は、4分の1ほどまで減ってしまった子どもの数です。
また、仕事と言えば田舎まちならではのものになってしまうし、それも働き盛りの30代に集中してしまっていることが若者たちの地元離れにつながっているのではないかと思います。
できることなら、商店街を続けていきたいです。でも、ここまで廃れると…。
本町商店街の店主は2代目や3代目が多く、ずっと商店街を見てきたので、「何とかしたい!」という強い気持ちはあるものの、年齢的に新たなことを始める難しさもあるんでしょうね。
まず、発展というより蘇生させなければ、という意識が強いです」

何かしようとは思うものの、他からの協力がなかなか得られない状況での活動は勇気がいるもの。
一方、それぞれの商店主さんは色々な特技を持っていて、みんなで知恵を出し合ってイベントなどを開催しています。八木での暮らしと商いを楽しんでいる様子が伝わってきて、小さなまちだからこその良さも感じることができました。
商店街の歴史を語って下さった廣瀬さん、ありがとうございました!

NPO法人 グローアップ 秋田裕子さん

八木町の革命児。三人の子どもを持つ母。Iターン者だからこその「他から見た地元」の視点から、八木町の魅力を語るキーマン。

「主人が八木町の酒造の息子ということで、11年前にIターンしてきました。
地元の方言にもすぐに慣れる社会性抜群な子どもたちに対して、もともとつながりがなかった私は危機感があったんです。
どうにか地元に根を張りたいという思いから、主人の実家の酒蔵で地域の人たちを集めた「酒蔵ライブ」を決行しました。もう10年も前のことになりますね。
何から手をつけたらいいか分からない状態からのスタートで大変でしたが、とっても楽しくて、結果的に地元とのつながりができました。

八木酒造内に飾られた「酒蔵ライブ」の歴代ポスター

ノウハウがない状態で成功したライブは「やればできるのでは」という雰囲気がまちに漂った。
さらに、ライブを観に来た他の地域の人が八木の魅力を語ることで、「ここは何もないのだから若者は外へ出て行きなさい」と言っていた地元住民が八木の良さを再認識することにもつながりました。
最初はもちろん、私のようなよそ者が由緒ある酒蔵でイベントをするということを良く思わない人もいました。でも、30代〜40代が中心になって各世代を巻き込んでまちおこしをしていけば、八木はもっと魅力的な地域として自覚できるようになるんじゃないかな」

Iターンした人にしか分らない、八木町の自然や食の魅力、地方の地域社会で根を張ることの大変さも語って頂きました。朗らかな見た目や雰囲気の中に芯がある方で、酒蔵ライブ成功の秘訣はもしかしたら秋田さんの人間性が一番の理由かなと感じました。貴重なお話しをありがとうございました!

京都丹波・食と森の交流協議会 廣瀬 孝人(たかひと)さん

お肉屋さん・「ミートひろせ」を営みながら、市議会議員として活躍。これからの時代は「事売り(ことうり)」。子どもたちの農家民泊を通じてまちおこしを行う。
八木町の地域づくりを真剣に考えるキーマン。

「かつて、まちに活気があった時は、農家の所得が高く、少々割高でも商店街で買い物をしようというお金の流れがあったときでした。しかし、現在、後継者不足や大型スーパーの普及などで農家の所得は落ち込み、商店街も同じように廃れてしまいました。
そこで、「農家民泊」を始めました。もう一度、農家さんに喜んでもらいたいと思ったのがきっかけです。
農家民泊では、小学生から高校生までの子どもたちに、田舎体験をしてもらいます。
親戚を泊めるためにとっておいた空き部屋や布団を活用し、おじいちゃん、おばあちゃんがコツコツ作っているお野菜を獲らせてもらって調理のお手伝いをしたり、一緒にごはんを食べたりします。
そこで体験する会話や暮らしは、一晩だけのふるさとのお母さん・お父さんを作ってしまうのです。「帰りたくない」、子どもたちは最後そう言って泣いてくれます。
農家さんも、生計を立てるのが難しく、自分の子どもたちも農業からは遠ざかってしまう状況の中で、まだまだ自分たちにもできることがあるのではないかと気づき始めてきました」

「私は、農家民泊を『こと売り』と呼んでいます。こと売りとは、物を仕入れて売る「物売り」ではなく、もともとあるものを活用してそこに発生する体験料をいただくことによって、原価をほとんどかけずに利益を得られる売り方です。
そういうことができるのもこの町が変に都会ずれせず、田舎を守り抜いてきた一つの財産であると思います。
現在、京都丹波エリアで130軒の農家が民泊の受け入れを行っています。野菜の収穫期の関係や天候による不作で受け入れられない時期もあるので、受け入れ先を200軒に拡大することが今後の目標です。これからもこのまちに寄り添い、八木町に合った町おこしをしていきたいです」

あらゆる方向から八木町を観察されており、八木町の良さだけでなく課題やこれから叶えたい野望までたくさん語って頂きました。ミートひろせは2016年2月末で閉店を迎え、農家民泊の拠点として新たに生まれ変わります。これからもますますのご発展期待しています!廣瀬さん、ありがとうございました!

八木町を支える人たちに出会えた2日間

1泊2日という短い期間でしたが、多くの人に出会えた今回の「まち冒険」。
みなさんのお話を聞いていて、1人1人の思いと行動が八木町を支えてきたということを実感しました。
今回特に印象に残っているのは廣瀬孝人さんとの出会い。
地域の課題を悲観せず、地元の良さをしっかりと見つめ、それを多くの人に発信していることに感銘を受けました。
町おこしの始まりは、そこに住んでいる人たち自身が地元の良さを見つめ直すこと!
色々な課題はあっても、まずはそれが大切なのかなと感じた2日間でした。

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湯浅真優子

湯浅真優子

学生ライター

マイペース / 人と話すこと / 活動的 / 社会学専攻 / ピアノ / 料理