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本当に良いものを知ってもらう 丹後de団子の「まちおこし」

やわらか〜い!
甘〜い!

やべー!おいしい!!

宮津駅から徒歩10分、「キセンバ港館」内にあるお団子屋さん、「京都丹後米製造所」。

とにかく、ここでつくられる団子はただものではない!団子の概念を覆す、そう言っても過言ではない。
その名も「丹後de団子」。

市内の観光スポット・傘松公園での販売を始め、道の駅、近隣地域の旅館や和カフェでも販売。
さらにはこの「丹後」という地域どころか、京都を飛び越え、遂には日本を飛び立ち世界各地で愛される”空飛ぶdango”だという噂を耳にしたのです。

こりゃあ黙っちゃいられない。
一体どんな秘密が隠されているのかを探るため、大学生たちとともに工場を訪れました。
ぞろぞろとやってきた私たちをあたたかい笑顔で迎えてくださったのが、代表の稲葉年治さん。

稲葉年治さん

宮津市に生まれ育つ。家業の洋服屋を継承しつつ、IT関連会社を経営。
2010年より、京都丹後米製造所の運営元・ティーズシー株式会社代表を務める。
大学生から高齢者まで幅広い仲間たちとともに、団子を通じたまちおこしにボランティアで取組んでいる。

丹後米の美味しさを知ってほしい

最初に一同が案内されたのは、餅つき機が並んだ工場奥。
なんとこちらのお団子、お米の良さを最大限に生かすため、蒸したお米をお餅のようについているのです。

迫力のもちもち感…

米粉と上新粉を練って丸めた普通のお団子とは食感が全く異なり、とにかく柔らかい。

「こんな風にして作っているところはなかなかない」と誇らしげに語る稲葉さん。
何よりも「お米のおいしさを知ってもらいたい」というコンセプトに基づき、 この製法にこだわっているのです。

そしてその最高のお米とは、大江山から流れるミネラル豊富な水が育んだ地元の棚田米。味、食感、粘り気などどれをとっても文句なしの最高のお米です。

稲葉さん(以下、敬称略):今、米価が下がっていますよね。
米を食べる人たちも減っている。
でも、何らかの形でこのお米を大切にして、棚田の風景を守っていきたいし、自然豊かな環境も守っていきたい。
お団子がたくさん売れることが、少しでも農家の方々の助けにならないかな、という思いでやっています。

誰もが認める「丹後de団子」のおいしさ

こだわっているのはお米だけではありません。
タレには独特のとろみをつけるために寒天を使用。
みたらし団子のタレに使っているのは、宮津に300年以上続く老舗醤油屋・「袋屋醤油店」の本醸造醤油です。

う〜ん!!見てください、この輝き。たまらないトロッと感。
夢中でほおばります。

さらに、このみたらし団子には通常の団子と玄米団子の2種類が。
玄米にはアンチエイジングの効果が期待できるのだそうです。「機能性食品」としての可能性を探るべく、大阪大学の教授とともにさらなる検証を進めています。

谷嵐さん:とってもおいしいでしょう?!さぁ、お団子食べたらみんなで「傘松公園」の「傘松団子」を作りましょう!

こちらの女性は谷嵐さん。
ご出身は大阪ですが縁あって宮津に来たところ、稲葉さんの思いに賛同して京都丹後米製造所の設立に携わることになります。
今では団子の製造責任者を務める彼女、早速私たちに団子づくりを教えてくださることに!

先ほどつきあがったお米をちぎって重さを測り、丁寧に丸めて串に刺していきます。

みんなが夢中になって作っている「傘松団子」とは、天橋立の北側、海抜130mの高台に位置する絶景スポット・傘松公園の人気No.1みやげ。
公園から眺めた天橋立は、まるで龍が天へと昇っていくかのように見えることから、「昇龍観」と呼ばれているんだとか。
(丹後海陸交通「天橋立へ行こう!」HPより)

稲葉:傘松団子はとっても人気のお土産。みんな残さずペロリと食べてもらえるんです。

恐るべし丹後de団子。
多くの人に愛されるこだわりのお団子が生まれるまでには、どのようなエピソードがあったのでしょうか。

スタートは「まちづくり研究会」

稲葉さん:私たちはまちおこしグループからスタートしました。
この周辺で商売をやっている人たちで「宮津まちづくり研究会」というグループを作って、勉強会をやっていたんですよ。
その中で出てきたのが、丹後はとてもおいしいお米がとれるのに、魚沼ほど知られていないよね、という課題。
このお米をどうしたらみんなに知ってもらえるのか、というところから、お団子にして広めようという話になりました。
だから愛称も「丹後de団子」なんです。

最初は10人ほどのメンバーでスタートしたまちづくり研究会。
それぞれの商売の繁栄をまちおこしにつなげる目的で、毎月専門家を招いて勉強会を行っていたそうです。
なんと、先日ご紹介した「カネマス」の七輪焼きも、この研究会の中から生まれたものだったんだとか。

そんな中、大きな転機となる出来事が起こります。
2010年、農林水産省が食料自給率向上のために取組んでいる「フード・アクション・ニッポン アワード」の「製造・流通・システム部門」入賞を果たしたのです。

稲葉:これが1つの大きなきっかけですね。
実際に事業としてやるなら法人をつくらないと、ということで会社を立ち上げたんです。
もう1つ大きかったのは、谷嵐さんに加わってもらったことかな。
この方は食通で、全国各地に幅広い人脈を持っていて。
彼女の紹介でレストランのシェフとか専門家に話を聞かせてもらったり、指導してもらったりして、1歩ずつ進んできました。

勉強だけにとどまらず実際に行動を起こし、独自の方法でお団子作りに取り組んできた京都丹後米製造所。
稲葉さんたちの原動力は、「丹後のおいしいものを知ってもらいたい」という、非常にシンプルながらも簡単には実現できない課題でした。

稲葉さんたちの思いをお聞きしているうちに、お団子づくりは順調に進み…
焼いてみたり、パフェ用のクリームを泡立てたり…

すると、
どこからともなくタンゴのリズムが…

「タン、タン、タンゴ、タンゴダンゴ〜♪」
団子への愛が深まるあまり、オリジナルソングまで完成してしまったというのです。

丹後でタンゴで団子…
頭がこんがらがっているところに、さらなるこだわりポイントが登場していきます。

稲葉:夏は冷たくして食べるのがオススメ。りんごやパイナップルのフルーツだれをかけるとおいしいんですよ。
今までのお団子とは全然違うんだから!

なんと製法だけでなく、団子のイメージさえも覆してきました。
もっとお米を楽しんでもらう方法を考えた結果、生み出されたのがこの「フルーツだれ」。
最初は団子の中にメロンやイチゴを練りこんで試作品を作りましたが、「お米の良さを生かす」という原点に帰り、たれをアレンジしていく今のやり方にたどり着いたそうです。
京丹後市・久美浜のぶどうや梨、メロンなどを使ったソースも続々開発中なんだとか。
とにかく、地元・丹後の食材にこだわります。

宮津・栗田(くんだ)の大粒いちご・「あきひめ」

やはり京都ということで、老舗茶舗の宇治抹茶を使用した抹茶団子、ほうじ茶団子なんていうラインナップも。

稲葉:我々にはこういう、自然豊かなところならではの良いものはたくさんあるんだけど、なかなか知ってもらえない。
なかなか伝えられもしない。
本当に良いもの、伝えたいもの、それを全世界に知ってもらうことが地域にとっても良いことなんじゃないかな。

世界に挑戦する「空飛ぶdango」

そう、「丹後de団子」がターゲットに見据えているものは京都や日本だけにとどまりません。
「まちおこし」から始まった団子が、今やアメリカ、イタリア、フランスなど世界各地に愛される「空飛ぶdango」となった理由に迫っていきましょう。

7色団子について解説する谷嵐さん

稲葉:このお団子は、冷凍で物流に出せるんです。
じゃあ、海外に持って行ったらどうだろう、そんな話になって、2010年に初めて台湾で実演販売をやりました。
ニューヨーク、ミラノ、パリ…
どこへ持って行っても、とってもおいしいって言ってもらえるんです。

地道な活動が功を奏して、海外での実演販売のお話が多くもちかけられるように。
フランスでは「丹後de団子」がレストランのレシピに使われたり、フォアグラと西京味噌を使った「団子料理」が開発されたりと、まさに団子の新境地が開拓されています。
アメリカの日系スーパーでは常時販売されるまでの人気商品となりました。

海外で販売することはとても魅力的だと語る稲葉さん。
一方で、多くの人が丹後米のおいしさを知らない、そんな課題がある中で、まずは国内でブランドを確立していくという考え方もあるような気もします。
なぜ、「丹後de団子」は日本を飛び越え、海外に挑戦していくのでしょうか。

稲葉:お団子って、日本のコンビニでは3本100円で売っているでしょう。
「丹後de団子」はアメリカでは1本2.5ドルで販売しています。
値段が高くても、本当に良いものの美味しさを伝えたいんです。
でも、日本の市場にはなかなかわかってもらえない。だからあえて日本を代表して海外にアピールしに行くんです。
そんな僕たちの思いに共感して、若い人たちにも仲間になってもらえたら嬉しいなぁ。
君たちも一緒に、もっともっと海外に行こうよ!

「行ってみたい!!」目を輝かせる学生たち。
実はすでに、大阪大学のボランティアサークルが仲間として活動しており、海外販売にも参加しています。
中には、就職試験の面接で「団子で海外に挑戦した」と話したところ、面接官の表情がみるみる変わり、見事内定をゲットできたなんていう学生もいるんだとか!
「ここに関わってくれた子たち、みんないろいろなところで活躍しているんだよ」
稲葉さんも谷橋さんもとっても誇らしげです。

ますます大きくなるスケールに期待が膨らみます。しかし「丹後de団子は」決して原点を見失うことはありません。

稲葉:世界を広げていくと、団子も夢のあるものになるかな、と。
日本を代表するスイーツとして焦点を当てると、楽しいですよね。
僕らはこれが本業じゃないので、これで儲けなきゃ!とは思っていない。
原価はあまり考えずに、付加価値の高い良いものを提供するのが使命です。
色々なところで喜んでもらえるものが作るのが一番かな。
僕らはどうしても、お米のおいしさを伝えたい。これが一番のコンセプトなんですよ。
そこに行き着きたいですね。

今日も、「京都丹後米製造所」はタンゴのリズムで団子を丹後のお米で作ります。

編集後記

地元への誇り、そして尽きることのないチャレンジ精神が生んだ「丹後deダンゴ」。今でもあの食感とタンゴのリズムを鮮明に思い出すことができます。
夢はでっかく、視野もでっかく!でも、大事なものは身近なところ、足元にこそ存在する。
つい忘れがちだけれど一番大切なもの。

「丹後米のおいしさをもっと知ってほしい!」
ただひたすらこの目標に向かい、これからも「京都丹後米製造所」はでっかい世界にチャレンジしていくのでしょう。

■京都丹後米製造所について…
運営会社…ティーズシー株式会社
店舗住所…〒626-0016 京都府宮津市新浜1991-1 キセンバ港館1階
TEL:0772-22-5000
FAX:0772-22-8833
HP:http://www.tangodedango.jp/

アクセス
◯マイカーご利用の場合…宮津与謝ICより約2km
◯鉄道ご利用の場合…北近畿丹後鉄道宮津駅下車徒歩約10分
◯バスご利用の場合…丹後海陸交通バス 「キセンバ港館(宮津桟橋)」下車すぐ

詳細はこちらにてご確認ください。
http://www.tangodedango.jp/company-info/

営業時間 10:00〜 ※売り切れ次第終了
定休日 不定休

「京都丹後米製造所」の学生レポート

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澤千絵

澤千絵

まち冒険プロジェクトスタッフ / Bono Inc. 新人ライター

東京都三鷹市生まれ。中学生の頃に地元町内会の新聞記者を始めたことから、地域づくりに関心をもつ。大学では主に地域社会学・都市社会学を学び、地方移住(UIJターン)の調査や地方でのフィールドワーク、質的調査(インタビューなど)を行ってきた。趣味は大好きな青森について探求すること、楽器演奏、大学時代の研究の続き。みなさん、いろいろ教えてください!
澤千絵

澤千絵

まち冒険プロジェクトスタッフ / Bono Inc. 新人ライター

東京都三鷹市生まれ。中学生の頃に地元町内会の新聞記者を始めたことから、地域づくりに関心をもつ。大学では主に地域社会学・都市社会学を学び、地方移住(UIJターン)の調査や地方でのフィールドワーク、質的調査(インタビューなど)を行ってきた。趣味は大好きな青森について探求すること、楽器演奏、大学時代の研究の続き。みなさん、いろいろ教えてください!