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カオスのまち? 不思議いっぱい 魅力がいっぱい 下町情緒溢れる すみだが楽しい

墨田といえばスカイツリーでしょ?いえいえ、そんな簡単には語れないまち。それが墨田なんです。
江戸文化の残る墨田には、職人の技あり!美味しいものあり!人情あふれる出会いあり!
照れずに、お店の方にしゃべりかけてみてくださいね。一度懐に入ってしまえば、みなさんサービス精神旺盛なのが下町の特徴。通うほどにたくさんの顔見知りが出来て、クセになってしまうこと間違いなしです。

まちの隙間から見えるスカイツリーも味があっていい感じです。
錦糸町駅からスカイツリーに目指して歩くと、程よいお散歩コースになります。

駄菓子から和菓子まで お菓子のことならお任せ

錦糸町駅の北口を出ると目の前に「ドーン!」と目に入る看板。それはきっと誰しも一度は目にしたことがあるであろう、あの「うまい棒」のキャラクターです。このビルの正体は「駄菓子とおかしのみせエワタリ」さん。地元では「うまい棒ビル?」と言われているそうです。店内はどこを見てもお菓子!お菓子!お菓子!ポップな色合いの懐かしいお菓子がたくさんです。1階は子どもが喜ぶバラ売りのいわゆる駄菓子屋さんです。そして店内の階段を上がり、2階はというと…

子どもの頃に憧れた駄菓子の大人買い。そう!大人が大興奮すること間違いなしの、正に「大人買いコーナー」です!!エワタリさんは、卸しも行う駄菓子販売店なのです。懐かしい駄菓子からオモチャまで盛りだくさん。外国人のお客さまも、ここに来るとみなさん、興奮気味になるとか。
配送もしてくれるので、たくさん買っても安心。墨田には戦後、駄菓子をつくるお店や問屋が数百社も集まっていたそうです。お菓子のまちだったんですね。
店内の写真とっていいですか?とお伺いすると「どうぞ!どうぞ!」と気さくにご対応いただきました。
これはきっと、初めてのみなさんは、思わず興奮して撮影して帰るんだろうなぁ。

駄菓子屋さんとは、またひと味違った雰囲気を醸し出している「山田家」さんは、老舗の人形焼屋さんです。
先代が戦後間もない頃に鶏卵卸問屋を創業し、甘いものを皆さんに食べさせたいという思いではじめたそう。

今も職人さんの手をかけながら、ふっくらしっとりと焼き上げています。
中には北海道産小豆がぎっしり。上品な甘さです。狸のモチーフが、とっても可愛い人形焼です。

注文をすると、その場で箱に詰めてくれます。直木賞作家の宮部みゆきさんが「本所深川ふしぎ草紙」を書き上げるのにヒントにしたという包装紙も必見です。
スタッフの皆さんに撮影をお願いすると、恥ずかしいからと照れながらもニッコリとしてくれました。

人が人を呼ぶ それが下町のあたたかさ

店を後にし歩いていると、ん?駅前に何やら人だかりが…。ベベベンッと三味線の音が響いてきます。
なに?なんなんだ!?と聞いてみると、どうやら本日がデビューライブ初日という演歌歌手の浅野祥さん。
浅野さんの歌声を聞こうと集まった人たちなのでした。デビューでこの人だかりってスゴイ〜。

イベント企画をしているのは、会場のすぐ脇にある「ミュージックショップ セキネ」さん。週に3〜4日ほどもライブやサイン会を行っているそうです。録音は基本禁止ですが、写真撮影はOKだそうですよ!
セキネさんの店内は、懐かしいカセットテープの販売も充実の品揃え。カセットテープ世代には、もうたまりません。カセットを聞いたことがない世代には、ちょっと見学してみて欲しい感じです。

墨田には小さな個人店の魅力的な喫茶店が多いのも魅力のひとつ。「珈琲専門店トミィ」さんは1974年創業の地元の方に愛される名店です。マスターが一杯ずつ淹れてくれるサイフォン珈琲と、ホットケーキが絶品。最近ではガイドブックを片手に、このホットケーキを食べに来る若い子も多いんだそうです。「若い女の子が一人で来るなんて昔は考えられなかったけどねぇ」というマスターですが、この日も店内は8割が女性でした。

外はカリッと中がふんわりとしたホットケーキは、定番のバター・生クリームの他、ツナやチーズ入りもあります。軽めのランチにもちょうどいい感じです。ツナは(写真)ホットケーキ生地に絶妙に効いた塩加減がよく合います!!使い込まれた美しい鉄板で、ホットケーキを次々と焼くマスターの姿に惚れ惚れ。
空いていればカウンターに座って、無駄のないマスターの動きを観察するのがオススメです。

確かな技術とセンスが光る 老舗をめぐる

老舗の渋いお店も多い中、ギャラリーのようなオシャレなお店を発見。店内を覗くとそこにはオシャレなTシャツが並んでいます。「久米繊維工業」さんは、創業1935年の国産Tシャツメーカーさんです。
海外生産の多い業界の中で、今も裁断から縫製・仕上げまで一貫して日本国内で生産する稀有な存在です。さまざまなアーティストや、地域とのコラボレーションTシャツも作っていて、この日は墨田と縁の深い、葛飾北斎をモチーフにした「北斎Tシャツ」展を行っていました。おぉカッコいい!!私も父親のプレゼントに思わず購入してしまいました。これは喜ぶぞ〜!

村上典弘さん(写真右)は大の日本酒好き!日本酒蔵元と組み、蔵元の酒造りの想いをTシャツに込めた「日本酒Tシャツプロジェクト」をプロデュースしています。
日本酒好きは思わず買いたくなることでしょう。…えぇ、日本酒大好きな私は、もちろん買ってしまいました。
これを着て酒蔵に行ったら杜氏さんに喜ばれそうですね!

「すぐ近くに素晴らしいものが見られるところがあるよ」と、久米信行会長(写真左)に連れられご紹介いただいたのは、創業100年余りの伝統を感じる「江戸切子館」さん。
どこかオススメの場所あります?と聞くと必ず教えてくれるのがこのまち。
みんな自分のまちが大好きなんですね〜。いいなぁ。

店内に足を踏み入れると、思わず「わぁ!キレイ〜」と声を上げてしまうような、赤や青を基調とした美しい江戸切子のガラス製品が並んでいました。

店内の窓越しには、職人さんがガラスに切子を施す姿が見学出来るのが嬉しい!手作業で一点ずつ、この美しい模様を削り出すのですね。川井更造さん(写真)は、墨田区の伝統技術を支える付加価値の高い製品を作る技術者に与えられる「すみだマイスター」としても認定されている職人さん。微妙な力加減で、みるみるうちに模様が刻まれていきます。それは、もう見事な職人技でした!!

ここでは、なんと!実際に切子体験が出来るそうです(要予約)。この日も3名の体験者がいらっしゃいました。初めてでも優しく教えてくれるので安心。ガラスを削る経験は、そう多くないからドキドキですね。
自分だけのオリジナルグラスを作れば、ますます愛着が湧きそうです。

地元に愛されつづける味にはワケがある

さて、小腹が減ったところで向かうは「味吟」さん。下町の味を守って50年。今では数の少なくなったいなり寿司専門店なのです!

「いらっしゃいませ!」店内に入る笑顔がとっても素敵な元気なお姉さんが迎えてくれました。
この笑顔に会いに何度も足を運びたくなってしまうほど!
そしてチャキチャキッとした手際の良さで、おあげにご飯を詰めていく姿には圧巻です。本当に驚きの早さです!!

店内でも食べることが出来ますが、お持ち帰りのお客さまが多いようです。
年末年始は行列ができるほどで、地元に長年愛され続けている味なんですね。
甘辛くもさっぱりとした後味で、熱ーいお茶に良く合います。
50年間継ぎ足したつゆで煮たおあげは、最低1日寝かせて味をしっかり馴染ませているそうですよ。

そしてお次は、気になる下町B級グルメ!の代表「中島ベーカリー」のキャベツパン。

キャベツだけ!!カツとか入ってないよ。シンプルに千切りキャベツだけ!!
何の味付けかは分らないけど、ちょっとした酸味がコッペパンに染みていて、すごく美味しいんです。
このキャベツパンには根強いファンが居るらしく、ある上場企業の社長なんかが車で買い付けにくるほど!
売り切れの場合もあるので、見つけたら是非買ってほしい一品です。因みにけっこうデッカいので半分に切ってもらうと女性も食べやすいですよ。

「写真は恥ずかしいからいいよ!」と言いながらもキャベツパンを半分に切ってくれて、それぞれ袋に小分けしてくれる、とっても優しいお父さん。

錦糸町からのお散歩旅ももう少しで終わり、もうスカイツリーも目の前です。
スカイツリー目前の北十間川沿いに、なんだか不思議な人が集まるお店が…「パンダジュース」さんです。

パンダが溢れる不思議なお店の正体はジューススタンドでした。
フレッシュフルーツをその場でミキサーにかけてくれます。冬に嬉しいホットスムージもありました。マンゴーとパイナップルMix(写真)は、疲れたカラダに染み渡ります!あぁ温まりました〜。

「せっかくなら北十間川のゆるキャラ『カッパのコウタロウ』くんと、ジュースの写真にして!このキャラクターファンのお客さんも、うちのお店にたくさん寄って下さるの!」と言う店主の船井美香さんは、とってもお話好きで誰とでも打ち解けてしまう、明るく元気な方でした。コウタロウの可愛さと、船井さんのこの気さくなキャラクターに惹かれ、面白い人が続々と集まってくるようです。

墨田には、ここでは紹介しきれないくらい、魅力的なお店や人、伝統の技術や工芸品がたくさん溢れていました。ここで出会った人たちに聞けば聞くほど、そして知れば知るほど、訪れてみたい場所が増え、会いに行ってみたい人が増えていく、不思議なまちなのです。

また来てね〜!と千切れんばかりに手を振ってくれる船井さん。
人の魅力がこのまちの魅力なのかもしれません。

裏路地から見るスカイツリーも雰囲気があります。

小高朋子

小高朋子

旅食ライター・カメラマン

1982年、神奈川県生まれ。アパレル業界、映像製作会社を経て、フリーランスに。持続可能なモノづくりの可能性を求めて各地を巡り、地域の食文化、工芸品、産業などを取材し、写真、映像も用いてその魅力を紹介している。 旅と、おいしい食べものと日本酒が何よりも好き。
小高朋子

小高朋子

旅食ライター・カメラマン

1982年、神奈川県生まれ。アパレル業界、映像製作会社を経て、フリーランスに。持続可能なモノづくりの可能性を求めて各地を巡り、地域の食文化、工芸品、産業などを取材し、写真、映像も用いてその魅力を紹介している。 旅と、おいしい食べものと日本酒が何よりも好き。