【戻りたい】大人になった今こそ行きたい“童心に戻れる隠れ家”を紹介する

オトナってのは、いろいろと疲れる。

加齢とともに重くなるフットワーク。
必死に働いたところで重くのしかかる税金。

子どものころは20分も休み時間があれば校庭で走り回っていたのに、
今では20分休憩と言われてもSNSで時間を潰すぐらいしかやることが見つからない。
 

「たまには、童心に戻ってリフレッシュしないと、心が死んでしまうのではないか?」

そう思った私は、毎日必死こいて働いている前職の後輩たちを連れて、“あるお店”に行くことにした。
 

“江ノ電”こと江ノ島電鉄に乗って到着したのは、極楽寺駅。

セミの声がやたらと似合う小さな駅に、おっさんたちを一瞬で童心に戻す不思議なお店がある。
 

緩やかな坂道を上り、歩くこと3分。
 

ふと道の端で目に留まる、昭和を感じさせる小さな看板。
 

階段を上って辿り着くのが今回の目的地、「レトロ秘密基地 やこぜん」である。
 

レトロ秘密基地 やこぜん
店主のやこぜんさんが始めたお店。500円支払うと、骨董品などで溢れるレトロな店内で、これまたレトロなボードゲームなどを一日無制限で楽しめるおばあちゃんちみたいな店である。駄菓子なども用意されている。

 

さっそく店内に入ってみると、
 

そこら中に、
 

溢れ出るレトロ!!!!
 

生活感溢れる店内に、所せましと並べられた骨董品やレトログッズ。これら全て、やこぜんさんが趣味で揃えたものである。

今日はここで一日遊んで、童心へ帰ってみる。
 

※なお、今回は以下の4人で遊ぶ。

カツセ
筆者。86年うまれ。「バトルえんぴつ」が大好きだった。
あこ
89年うまれ。好きなミニ四駆は「スピンアックス」。
木村
90年うまれ。函館出身。小学校3年で「たれぱんだ」にハマる。
早川
92年うまれ。今回最年少。「ベイブレード」世代。

大人になって食べる駄菓子は楽しい

店内を見回していると、駄菓子コーナーを見つけた。
 

引き出しの縁にシールで値段が書いてあり、自分たちで手計算。無人販売になっているのも、なんだか味があるように思える。
 

各々好きなものを食べることに。思い出がよみがえる。
 

カツセ「みんなって、そもそも駄菓子世代なの?」

木村「ザ・駄菓子屋って感じじゃないですけど、遠足前に『300円以内で!』って、小さな商店みたいなところで駄菓子を買っていました」

あこ「あ、きなこぼうあるよ」

木村「あ! 好き好き! わ! セコイヤチョコもある!」

カツセ「セコイヤチョコ、知らない」

あこ「え、どうやって生きてきたの? あんだけテレビCMやってたのに」

カツセ「え、マジで知らない」

早川「『♪セコイヤ、セコイヤ』みたいなやつですよね」

カツセ「なんで最年少まで知ってるのに、俺だけ知らないんだろう」
 

木村「モロッコヨーグルは好きですか?」

早川「あー、あんまり」

カツセ「俺、それも知らんわ。どういう味すんの?」

あこ「ちょっとモソっとした、クリームみたいなかんじ」

木村「てかカツセさん、駄菓子知らな過ぎるでしょ」
 

最年長のくせに駄菓子にあまり縁のない暮らしをしていたことが露呈し、後輩たちにバッシングを受け続ける。過去の自分を叱咤したい。
 

木村「いろいろ懐かしいなあ。『七夕』ってかんじ」

早川「え、七夕って、駄菓子と関係なくないですか?」

木村「函館では、七夕になると、子どもたちが歌を歌いながら近所をまわって、お菓子を貰い歩くんだよ」

あこ「なにそれ、完全にハロウィンじゃん」

木村「ハロウィンは何もないです。七夕でやるんです」

カツセ「ローカルすぎる~!」

木村「家の前に笹を出してる家は『寄っていい家』なんですよ。函館全域でやってました」

早川「世の中広いなあ」
 

プシュっとやって、乾杯。駄菓子にラムネはつきものである。
 

カツセ「駄菓子ってなんでこんな味するんだろうな」

あこ「わかる、『駄菓子の味』ってある」

木村「『蒲焼さん太郎』が好きだったなあ」

早川「『焼肉さん太郎』も好きでした」

カツセ「全部しらない」

あこ「なんでカツセさんこの企画受けたの」
 

駄菓子は世代ではなく、生活習慣によって経験の有無が別れるらしい。この後も後輩たちからのバッシングおよび駄菓子マウンティングが続いた。
 

それでも、腹もたまるし、独特の味がたまらない。ラムネも含めて、4人で920円。「今月お金ないから」なんて言わせない。この価格感も駄菓子の最たる魅力である。

レトロゲームで遊ぶ

軽く腹ごしらえを終えた私たちは、“500円払えば店内のものはなんでも遊び放題”という甘い台詞に惹かれ、店内を物色。「何しよう、どれで遊ぼう」と作戦会議をすること10分。手始めに「黒ひげ危機一髪」で遊んでみることにした。
 

店内にいくつも置かれた掛け時計の秒針の音だけが響く店内で、ブスブスと短剣を刺していく。しばらく味わっていない緊張感が漂う。
 

カツセ「これ、一週目で跳んだらウケるな」

あこ「あ、だめだめ、そういうこと言われると、本当に当てちゃうから私」
 

ズブッ。

ポンッ!!!

 

「はやっ!!wwwwwwwwwwwwww」

 

カツセ「本当に当てるやつがあるかよ!」

あこ「だから言ったのにー!」

木村「あこさんすげー!」

早川「ちょっとした預言者じゃないですか」

こういう展開があるから、友だちと遊ぶって楽しい。
 
 

続いて手に取ったのは、名前からしてワクワク度がすごい「沈没作戦ゲーム」。パッケージ下に書かれている「TV宣伝中」が時代を感じさせる。テレビの力が今よりもずっとずっと強かったのだろう。
 

自分の色のボールと同じ色の中央の穴に入るように進めつつ、相手のボールを途中の溝に落ちるように仕向けて行く戦略ゲーム。
 

ルールを理解すると、たちまち全員真剣な表情に。
 

こういうアナログなゲームもちょっとしたブームが来ているけれど、こうしてテーブルを囲んでみるとわかる。ネットとかが発達していくなかで、あえてみんなで顔を突き合わせてひとつの遊びをするって、やっぱり楽しい。
 
 

でも、ここでも最下位だったから、やっぱりこの企画は私が書くべきではなかったと反省している。

好きなものを集めたら生き方さえ変わってしまった、店主のやこぜんさんの話

最後に、店主のやこぜんさんに、このお店についての話を聞いてみることにした。

――このお店は、いつからあるんですか?

やこぜんさん(以下、やこぜん)「5~6年前かなあ。オープンしたときは、もっとクラシックな骨董屋だったんです。今みたく『レトロなものなら何でもあります』って雰囲気ではなかったし、遊び場でもなかった」

――骨董品を集め始めたのはいつからなんですか?

やこぜん「この店を契約したのは10年前くらいだったんですけど、引っ越してきた当初は、今で言うミニマリストみたいな暮らしをしていたんです」

――この部屋からは想像もつかないですね。

やこぜん「お金に余裕ができてきたら、レトロなものを集めたくなってしまって。『じゃあ骨董屋をやろう』って決めて、古物商の免許を取って、大家さんに商売をする許可を得て、始めた感じです」

――骨董品って、どこで買うんですか?

やこぜん「昔は骨董市とかで買っていたんですけど、今は、ネットオークションが多いですね。楽だし、安いんですよ」

――昔から、好きだったんですか?

やこぜん「そうですね。昔から日本らしいものが好きだったんです。学生時代に京都に行って、そこでさらに目覚めてしまった感じで」

――「好き」から「仕事」どころか「生き方」まで変えちゃったの、すごすぎます……。

「500円で2日暮らせる」やこぜんさんの個性的すぎる私生活

――同時入店できるのは3組までって聞いたんですけど、最大でも10名ちょっとじゃないですか。1人当たり500円じゃ、全然稼げなくないですか……?

やこぜん「それ、よく聞かれるんですけど、なんとかこの働き方で暮らしているんですよ」

――え、すごい! ほかに収入なく、ですか?

やこぜんここが店舗兼自宅だから、あとは僕の生活費と家賃だけなので、逆算したらそのくらいでいけそうだなあって思ったんです」

――でも実際、厳しくないですか? ひとり500円じゃ、10人きても5,000円ですよ?

やこぜん「僕はもう、完全に浮世離れしているから(笑)。食費も、ひと月8,000円くらいですよ」

――8000円!? 何食べているんですか?

やこぜん「朝は、納豆ごはんと、自家製のぬか漬け。夜は、白菜とほうれん草が入った塩ラーメン。そんなもん」

――それだけ!?

やこぜん「みんなは我慢できないかもしれないけど、僕はグルメじゃないし、食が細いから。一日200円台でいけちゃうんです」

――仙人みたいだ……。

やこぜん「個人経営だから自分で確定申告もしているけど、税金もほとんどかからないんですよね、この生き方、利益なんてほぼ出ないから」

――たしかに。

やこぜん「それに、お客さんのことを考えると500円くらいがちょうどいいと思うんです。800円でも高いし、500円で、何度も来てもらったほうが嬉しいと思って」

――実際、500円あれば2日は暮らしていけちゃうんですもんね。

やこぜん「そうそう(笑)。みんな、普通に生きていると、何にいくら使っているかって、実はあまりよく知らないと思うんですよね」

――若いひとはとくにそういう人が多いかもしれないですね。

やこぜん「でも、それをきちんと計算したら、節約できる部分が見えてくるんです。そこを突き詰めれば、こういう暮らしができるんだと気付けました」

――考えることはあっても、実現できる行動力がすごいですよ……。「遊びにいこう~」なんて気軽に来ましたけど、なんかすごいパワーを貰えた気がします。ありがとうございました!

おわりに


「『生きるためにいくら稼がなきゃいけない』って考えるとしんどい。人生は、成すべきこと、果たすべき役割が決まっていて、それに徹してさえいれば、その人は生きていけると思っているんです。僕にとっては、これが天職だと思っているので、この生き方をしていれば支えてくれる人と出会えるし、よいめぐり合わせが起きると信じている」と語る、やこぜんさん。

この店に独特の空気が流れているのは、商品である骨董品が歩んだ歴史が滲んでいるだけでなく、やこぜんさんご自身のエネルギーが溢れているからなのかもしれない。
 
 


もちろん、店に置かれている骨董品は、全て購入可能。
 


置いてある品のバリエーションも、本当に幅広い。雑多な雰囲気なのに一体感があるレイアウトも、見ていて飽きない。
 


「なんだか心がすれてきたなあ」と感じたり、「最近楽しいことがなさすぎる」と思ったりした方は、ぜひ一度足を運んでみてもらいたい。「レトロ秘密基地 やこぜん」は、今日も多くの人を童心に戻らせては、「また頑張ろう」と背中を押す。
 

執筆・編集/カツセマサヒコ+プレスラボ
写真/関口佳代