髪を失ったピンチをチャンスに!脱毛に悩む女性に群馬県産シルクのヘッドスカーフを!

脱毛症や抗がん剤治療で髪を失った女性に、お洒落をする喜びと自信を与えるヘッドスカーフを届けたい―。

自身が脱毛症を患ったこときっかけに、事業を立ち上げた女性がいます。

群馬県在住の角田真住さん(38歳)。
古くから織物の町として知られる群馬県桐生市を拠点に、肌に優しい群馬県産のシルクを使い、ファッションとして楽しめるヘッドスカーフの販売に向けて挑戦を続けています。

グリーンのヘッドスカーフを着けてインタビューの場に現れた彼女は、いきいきとした明るいオーラに包まれていました。

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(イラスト/花咲マリサさん)

「お洒落だね!」 友人の言葉が笑顔を取り戻すきっかけに

角田さんの身体に異変が起こったのは2013年、第2子出産後のことでした。

ヘッドマッサージ中にツルツルとした感触を感じ、病院へ行くと「多発性円形脱毛症」と診断されます。

「多発性円形脱毛症」は複数個所に円形脱毛症を発症する病気。原因ははっきりしておらず、治療法も確立されていません。

日に日に抜け落ちていく髪。
角田さんが一番辛かったのは自分の容姿が変わっていくことではなく、周りの人たちの気持ちにまで影響を与えてしまうことだったと言います。

角田
私の髪を見て心を痛める両親や困惑する友達を見て、気をつかわせてしまっているなぁと申し訳なくて。外に出るのが億劫になってしまいました。


そんなある日、手持ちのスカーフを頭に巻いて出かけたところ、友人たちから思いがけない反応が返ってきました。

『すごく素敵!』
『お洒落だね!』

角田
お洒落だと誉められたことで、ガラッと気持ちが変わったんです。スカーフに合わせて洋服を選ぶのも楽しいし、出かけるのも楽しい。もっと手軽にファッションとして楽しめるスカーフがあれば、脱毛症や抗がん剤治療で髪を失った女性の役に立つのではないかと、考えるようになりました。


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友人のイラストレーター花咲マリサさんが角田さんの想いをイラストに(イラスト/花咲マリサさん)

コンプレックスを隠すのではなく、ファッションとして楽しめるスカーフを

角田さんは事業立ち上げの第一歩として、「群馬イノベーションスクール」を受講。2015年4月から2016年1月まで、起業を目指す仲間と共に学び、意見を交わしながらビジネスプランをブラッシュアップしていきます。

スカーフの裏地に、群馬県の碓氷製糸農業協同組合で作られているシルクを薦めてくれたのもイノベーションスクールの仲間でした。

角田
通常シルクは製造過程で防腐剤としてホルマリンを使うのですが、碓氷製糸では冷たい水を使うことで、世界で唯一ホルマリンを使わずにシルクを生産しています。赤ちゃんの肌着に使えるほど肌にやさしく、群馬の特産品として差別化も図れる。これだ!と思いました。


ヘッドスカーフを結んでバランスを整えるのは、なかなか難しいもの。最初から頭の形に作りこんでおくことで、起きてすぐや入浴後にも簡単に装着できるようにしました。

その人に一番似合う色を選べるよう、将来的には約20色の展開とオリジナルの柄の制作も考えていると言います。

角田
脱毛してウィッグを着けた時、自分を偽っている感じがしたんです。コンプレックスを隠すのではなく、ファッションとして楽しめるアイテムにしたい。それが一番のこだわりです。


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被るだけの手軽さもこだわりの一つ。お揃いの生地で出来たシュシュを付けることで、ボリューム感のあるお洒落なスタイルが完成します(写真/Mihoko Ebina)

「群馬イノベーションアワード2015」で見事入賞。
資金を集めるために挑戦したクラウドファンディングでも多くの支持を得た角田さんの前に、壁が立ちはだかります。

表地にポリエステル、裏地にシルクと異なる素材を使用するため縫製が難しく、引き受けてくれる工場がなかなか見つからなかったのです。
途方に暮れた角田さんの頭に浮かんだのが、絹織物の産地として知られる桐生でした。

「織物の町・桐生なら、引き受けてくれるところがあるかもしれない」

ネットで見つけた桐生市の縫製工場を訪ねた角田さん。
角田さんの熱意が伝わり、チャレンジを応援してくれることになりました。

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2015年12月5日に開催された「群馬イノベーションアワード2015」ビジネス部門一般の部で見事入賞(写真/上毛新聞社)

ものづくりの街・桐生を拠点にチャレンジをスタート

2016年9月23日、角田さんは桐生市のNPO法人キッズバレイが運営するコワーキングスペース「cocotomo」を拠点に、合同会社「Armonia(アルモニア)」を設立しました。

角田
このプロジェクトは、たくさんの桐生の方に応援していただいてここまで来ました。ものづくりの街・桐生で布についてもっとたくさんのことを学びたいと思っています


10月末に横浜で開催される「第54回日本癌治療学会学術集会」での企業展示と、11月から開始する群馬県内の病院でのテスト販売で患者さんの声を集め、商品に反映したいと言います。

「Armonia」とはイタリア語で「調和」を意味する言葉です。

角田
髪がないからと何かをあきらめるのではなく、一つの個性として輝けるように。それぞれの個性が上手く調和できるような社会に役立てられれば―。


角田さんは笑顔でチャレンジを続けていきます。