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ゆりかごから墓場まで!? 0歳から100歳までまとめて私が面倒見ます!

里山が広がる島根県大田市に、福祉施設、保育園、青少年施設を運営し、まさに「ゆりかごから墓場まで」面倒を見ている「ボス」がいることが発覚!「ボス」とは、もともとは草地研究に取り組む宮城県から移住してきた女性とのこと。「リケジョ」だった女性が、パワフルな「ボス」になるまでのストーリーを追います!

「ボス」は、元リケジョの女性!
6ヶ所の施設を運営する社長

島根県大田市在住の高橋泰子さんは、介護グループホームなど福祉施設を4ヶ所、保育園「わんぱ〜く保育園」、青少年の居場所スペース「ほっとスペース ゆきみーる」を運営。職員や利用者には、親しみと尊敬の念を込めて「ボス」と呼ばれる、リーダーシップあふれるパワフルな女性です。

高橋さんが社長を務める「有限会社百年くらぶ」は、6ヶ所の施設を運営中!

高橋さんが社長を務める「有限会社百年くらぶ」と、理事長を務める「NPO法人緑と水の連絡会議」は、6施設を運営!

高橋
生まれ育ったのは宮城県。大学の研究を通じて知り合った夫と結婚して、研究機関がある島根県大田市に移り住みました。それまでまったく縁のない土地でしたが、何か自分も地域に対してできることはないだろうかと考え、小さな塾をはじめました。勉強や進路だけでなく、生活や家庭のことも相談に乗ったり、家族ぐるみの付き合いになることも多々ありましたね。

塾で地域とのつながりを持ち始めた高橋さん。徐々につながりは深く、広いものになっていきます。

高橋
環境問題に関わったのをキッカケに、『地域のすべての課題に関わり、解決の糸口を見つける』ことを理念とした『NPO緑と水の連絡会議』を立ち上げました。草原の保全活動、静間川の鮎再生、小学校での環境学習の開催など、さまざまな取組を行っています。2006年には中国地方で初の認定NPO法人になりました。
ちょうどその頃、母の介護についても考え始めていた時期でもあり、地域のグループホームの事業拡張計画に出資していました。ところが事業拡張計画が頓挫し、グループホームが立ち行かなくなる恐れが出てきました。福祉施設は、地域にとって絶対に必要なもの。誰もやらないのなら私がやろうと、グループホームの社長に就任することにしたのです。

福祉施設の経営に乗り出した高橋さんは、従来のグループホームだけでなく、認知症対応型デイサービス、介護サービス付きシニアホテルなど、地域のニーズを汲み取りながら、事業を拡大させていきます。

すべては「笑顔を創造する」ために。
施設目の前の土地を買い取り、保育園オープン!

高橋
理念は、『みんなの笑顔を創造します』。利用者の方はもちろん、職員も地域の人も、みんなが笑顔になることを大切にしています。

確かに、福祉施設は働く職員の人が暗く、イライラしていたら、利用者も心地良く利用することができません。そのため、高橋さんは経営者として、ひとりひとりの職員としっかり向き合い、悩みを聞くようにしています。
そんな中で職員の悩みとして浮かび上がってきたのが、子育て世代の職員が子どもが病気になったときに保育園が預かってくれないこと。自分が休んで看病するしかなく、急な休みを取ることで周囲に迷惑がかかることに悩んでいることがわかりました。

その悩みを解決するために、高橋さんは早速動きました。グループホームの目の前にあった施設を買い取り、保育園事業をスタートさせたのです!すごい行動力!!

高橋
職員の悩みから、病児保育ができる保育園にしました。預かっている子どもが5〜6人と少人数なので、きめ細かな対応ができます。福祉施設に隣接しているので、幅広い年齢層に触れ合うことができるのも、良い環境だと思います。
子どもと触れ合うと、お年寄りも自然と笑顔に!

子どもと触れ合うと、お年寄りも自然と笑顔に!

保育園のスタートは、福祉施設が掲げる理念「笑顔の創造」にも、大きな効果をもたらしました。保育園の子どもたちは月に何度か福祉施設に遊びに行き、お年寄りの利用者たちと交流しています。
子どもと交流すると、利用者は自然と笑顔に!夕方になると「家に帰りたい」と帰宅願望を持つことが多いお年寄りも、保育園の子どもたちと話すと気持ちがすっと落ち着いたり、交流が良い刺激となり、気分転換になっています。

弱い人と触れ合うことで、居場所のなかった青少年も変わる。
さらに「笑顔を創造する」ための次なる夢は?

お年寄りの福祉施設、子どもの保育園と事業を拡大してきた高橋さんは、次に青少年のための施設を手がけます。Uターンして小中学生対象の支援施設に勤務していた息子の賢史さんが、より幅広い青少年を対象とした居場所づくりをしたいとの想いを抱いていたこともあり、学校へ行くことが困難になった生徒や、引きこもりがちで社会との接点が作りにくい青少年の居場所「ほっとスペース ゆきみーる」をスタート。マンガやゲームなど青少年にとって居心地の良い環境を作りつつ、勉強するための自習室、就職を希望する子のための就労支援や面接練習などを行っています。
この青少年施設も、福祉施設や保育施設と隣接した環境だからこそのメリットがあるとのこと!

高橋
自分に自信のない青少年でも、自分より小さくてか弱い子どもや、人の助けが必要なお年寄りに対してできることはたくさんあります。最初はおっかなびっくり関わっていても、徐々にやりがいを感じ、たくましい顔になっていくんですよ。
また、月の利用料金3000円のうち、2000円は皿洗いや保育施設、福祉施設で手伝いをすることで貯めることができる『ゆきみーるポイント』で支払うことができます。自然と『働く』ことを経験できる仕組みになっています。

福祉施設、保育園、青少年施設と手がけてきた高橋さんですが、さらにその先を見据えています。青少年やお年寄りが活躍できる場を作ろうと、ゲストハウスの運営を計画中なのです!

高橋
人付き合いが苦手でも、皿洗いやベッドメイキングなら大得意!という青少年がいます。お年寄りも、100歳でも社会の役に立ちたい!と願っています。そのためにゲストハウスの運営を考えていて、もう土地はすぐ近くに買ってあり、設計段階に入っているんですよ。青少年やお年寄りも運営に関わる仕組みを考えています。

次なる夢を語りながら、パワフルに笑う高橋さん。高橋さんだけでなく、高橋さんが運営する施設の職員、お年寄りや園児などの利用者も、みんな明るい笑顔が印象的でした。まだまだ広がり続ける、高橋さんの「笑顔を創造する」チャレンジを応援しましょう!

子どもたちの笑顔は、高橋さんにとってもエネルギー源。次なる夢に向けて、走り続けます!

子どもたちの笑顔は、高橋さんにとってもエネルギー源。次なる夢に向けて、走り続けます!

西嶋 一泰(にしじま かずひろ)

西嶋 一泰(にしじま かずひろ)

民俗学者・ライター

専門は祭り。島根県大田市で山村留学を絡めた地域おこしに従事。