「カップルが成立しやすい…?」スラックラインはスポーツではない!コミュニケーションだ!

こんにちは、ライターのナカノです。
わたしは今、空中にある“線”の上を進もうとしています。

これが……
 

なかなか……
 

全然ダメだ、二歩で精一杯!
 

みなさんはこのスポーツ、「スラックライン」を知っていますか?

©金田正氣

基本的なルールは、渡されたラインの上を端から歩くこと。ちょうど、綱渡りのような感じです。
 

夢中になっているうちに、気づけば15分ほど経っていました。なんだかクセになっちゃうんです……!

わずか5センチ幅のライン上で、飛んだり跳ねたりアクロバティックな技も楽しめるこのスラックラインですが、わたしは進むこともできません。

── もう! 全然先に進めない! 先生ー!!

「どう? だいぶ楽しんでるみたいだね。」
 

この方は、スラックラインインストラクターの金田正氣(かねだ・まさき)さん。

長野県の駒ヶ根市にある「アウトドアショップK」で働きながら、インストラクターとして活動しています。

店内にはスラックラック(スラックラインの設備)が併設され、休日になると親子連れで賑わいます

金田さんのスラックラインの腕前はこちら。

©金田正氣

この軽やかさ、すごすぎません……?!

プットバウンズ→BS360→タップ→チェストバウンスという4つの技の組み合わせ。

ラインの上でまるで曲芸のようにパフォーマンスを繰り広げます。

©金田正氣

ラインの上でしゃがむ技「ダブルドロップニー」を披露してくれる金田さん。一見簡単そうに見えますが、全くできませんでした

プレイヤーとしてはもちろん、指導者として今や地元のイベントに引っ張りだこ! という金田さんに、スラックラインの魅力について聞いてみました。

スラックラインのメッカは、ここ長野県!? 世界大会も開かれた

── スラックラインって屋内でもできるんですね! 芝生に囲まれた屋外でやるイメージがありました。

©金田正氣

屋外イベントでの一コマ

金田元々は外で楽しむスポーツなんだけど、こうやって屋内でもできるのがスラックラインの万能なところかな。

── 日本にはいつ頃入ってきたんですか?

金田10年前に日本に入ってきたみたいだね。でも道具は売ってなかったから、海外から個人輸入して始める人が多かったようだよ。

── 今ではこのお店でも道具が買えるし、もっと気軽に始められますね。

近隣の伊那谷産ヒノキの間伐材でつくられたスラックラインはお店のオリジナル商品。店内で遊んだ後に購入される方も多いとか

金田実は、国内最大級のスラックラインパークは長野県の小布施町にあって、今年はスラックラインの世界大会も行われたんだよ。

── 世界大会! それじゃあ、スラックラインの認知はかなり上がっているのでは……!

金田そうだね、徐々に広まってきてはいるけど……。それよりも、私はスラックラインを「コミュニケーションツール」として考えているんだ。

スラックラインでカップルを量産!?

── コミュニケーションツールですか?

金田例えば、婚活パーティのアクティビティに使ってもらった時は、参加者15組から7組のカップリングが成立したことがあるよ。

── 半数近くも……!? 大発明じゃないですか先生!!

金田男性が女性の手を繋いでサポートしてあげることでスキンシップがはかれるから、グッと距離が縮まったのかもね(笑)。

── 足元が不安定でドキドキするし、吊り橋効果もあったりして!

金田スラックラインに出会った時、こんなに面白いスポーツで、大人も子どもも一本のラインで一緒に楽しめるなんて! と衝撃を受けたね。
道具も1本1万3千円で購入することができるから手軽に始められるし。

だから自分だけで楽しむよりも、人と人とをつなぐコミュニケーションツールとして広めたいなと思ったんだよ。

教えない。放置しちゃう!

── スラックラインを教える時に、気をつけていることはありますか?

「放置!」

── え、放置!?

金田一歩下がって見ているって言い方のほうが正しいかな。

── 教える側なのに?

金田例えば、子ども対象のイベントひとつとっても、みんな教えなくても自分でやりはじめる
一生懸命やったり楽しんでいるときにああしろこうしろって言われたら誰だって嫌だよね。

── 確かに話しかけられたら、わずらわしく感じちゃいますね。

金田教えて欲しい時はこっちを見たり、「教えて」って言ってきたり、何かしらのアクションを起こすからね。そこで初めてアドバイスをさせてもらってるんだよ。

「あ、やばい!」と、とっさに助けを求める。なるほど、これのことか!

── あくまでも、黒子的な役割なんですね。

金田そうだね。みんなぜろからスタートしても、センスがあったりして半歩先に進む人がでてくる。
その人が、「俺こうやったらできたよ」って教えていったら場が盛り上がるし、自然とコミュニケーションが生まれている

── あぁ、コミュニケーションツールの意味がようやくわかった気がします。

金田さっきまで知らなかった人同士での会話が生まれること。そして盛り上がること。これがスラックラインの醍醐味だと思っているんだ。

「あくまでコミュニケーションが生まれる場を提供する側。ああしろこうしろと口を出すことで場がしらけてしまわないようにしている」と金田先生

©金田正氣

教育について研究するイベントで、学校の先生方にスラックラインを体験してもらったことも

スラックラインの“つなぐ”力。そのもうひとつの使い方

── 今後やってみたいことや達成したいことはありますか?

金田今はひとつの市町村でイベントが完結することが多いんだけど、もっと他と横断的につないでいけたらと思っているよ。

例えば、「近くの松川町では果樹狩り体験ができるから、今から連絡すればいけますよ!」とアナウンスしたり、「宿泊ならどこがおすすめ?」なんて相談に乗れたり……。

もっと広いエリアでまとまることで、スラックラインだけじゃなく地域の魅力を総合的に発信できるイベントができたら理想的だね。

「個の力は弱いけど、集まったら強くなる。スラックラインで出会った人たちは、それぞれが地元を盛り上げたい人たち。私はみんなを“けしかけて”いきたいと思っている」

とほがらかに語る金田さん。

みなさんは次のお休み、何をしようか決めましたか? よければ大切な人をスラックラインに誘ってみてはいかがでしょう。関係が今よりもっと深まるかもしれません。

金田先生による最上級の放置プレイと、そして近隣の観光情報をとりそろえてお待ちしています。

取材・編集/ナカノヒトミ+プレスラボ
写真/横尾涼