石井くん写真入り口

nanodaとは、一体どんな場所なのだ

nanodaは本当に空き家にあった!

石井写真入り口2

私たちはえんぱーくに続き、nanodaを訪れた。nanodaは、現在、塩尻の広告塔と言ってもいいような存在になっている。そこには商店街を中心に、場合によっては県外からも人が集まる。

日々、多様な企画が行われるここは、市民交流の第2の拠点となっている。早朝から行列ができる、県外からも多くの人が訪れるなど、その評判は、現在、全国誌に取り上げられるまでになっている。

さて、ここまでの話を聞けば、nanodaとはなんと素晴らしい施設だと思うだろう。空き店舗を改装して作ったとは言っても、流行りのリフォーム住宅のようなこぎれいな雰囲気を想像するのではないだろうか。

しかし、実際はその予想は全くと言っていいほどまちがっていた!

私たちが案内された先は、立て看板がちょこんと置かれているだけの、一軒の空き家。なんと、それがnanodaだった。

明かりも点いておらず、言われなければ気付かずに通り過ぎてしまいそうだ。なんとも自然にシャッター街に溶け込んでいる。だが、よーく見ると、確かに「営業中」と書かれた立札が置いてある…。

心に響くまで、続けるのだ。

石井くん写真今井さん

今回はnanodaにて、商店街で店を営む、加藤さんと今井さんにお話を聞くことができた。お二人には、nanodaが誕生し、広く知られるまでの裏話を聞かせていただいた。

ここだけの話、今でこそ市の広告塔となっているnanodaだが、立ち上げ当初は多くの人の反発を受けていた。

商店街の人々が、店舗を空き家と呼ばれることを嫌ったのだ。実は、商店街の建物の多くは一階部分を店舗、二階部分を居住スペースとしている。

つまり、空き店舗の二階部分には、店を閉めた後もまだ人が住んでいるのだ。それを空き家と言われては、住人が怒るのは無理もない。

その当時の山田さんは、後ろから石でも投げられそうなほど強く反発されていたという。

それでも、山田さんは根気強く交渉を続けた。商店街に身を置き、本当の理解を深めたい、また、それを通して大門商店街を元気にしたいという強い思いがあったのだ。

そのかいあって、一人の住人が空き店舗を貸してくれた。その店舗こそ、のちのnanodaである。

それからというもの、塩尻産ワインを飲む企画や朝食会、ときには100mしか届かないFMラジオなど、さまざまな企画が行われるようになった。

そうこうしているうちに、nanodaには人が集まるようになり、商店街がにぎわい始めた。すると、少しずつ、山田さんを支持する人々が増えていった。長い時間を経て、彼の思いが住人の心に響き始めたのだ。

今では、この大門商店街で、山田さんを見てあいさつをしない住人はいない。彼は今や、塩尻活性化の代表的存在として、商店街のみならず、市民全員に認められている。

加藤さんと今井さんは、社会を変えるのは「若者、よそ者、馬鹿者」であるという。

山田さんはnanodaによって、かつての商店街に新しい血を通わせた。そこにいる若者が元気であることが一番の希望であると、お二人は語る。

小さく、小さく、始めるのだ。

石井くん写真吉田さん

nanoda運営のコアメンバーである吉田さんは、nanodaの一番の特徴は、「何事も小さく始めてみればいい」という方針だと語る。

どんなときも、とりあえずやってみるということが、すべてのきっかけを作るのだ。

nanodaが全国誌に載るまでに知名度を上げたのも、始まりは、空き家を借りて住んでみるという小さな提案だった。

その当時は、それが今のように塩尻の広告塔になることなど誰も想像していなかった。

小さなきっかけは、偶然の結びつきを経て、大きな変化を及ぼすことがある。それに関する話で、山田さんお気に入りの計画的偶発性理論がある。

アメリカで提唱されたこの理論は、「個人のキャリアの8割は、偶発的な要因によって決まる」という内容のものだ。

運営の吉田さん自身も、身をもってそれを経験している。なにせ、彼はもともとイベントに訪れた一般の参加者だったのだから。

そして、頻繁にイベントに立ち寄っているうちに、いつのまにか運営のコアメンバーになってしまった。人生何が起こるかわからないというのは、こういうときに言うのだろう。

私たちにとって、nanodaには大いに学ぶところがある。何かをしたいという思いは、胸に秘めていてはいけない。

なぜなら、nanodaのように、大きな変化が小さな行動から始まったりもするからである。

気軽にでいい、まずは小さく始めてみる。そうすることによって、私たちにも変えられる何かがあるのではないだろうか。

石井大智

石井大智

早稲田大学/創造理工学部/一年

理系だって「まち」を学ぶ!