中井侍には侍おるんじゃー!プロジェクト

ここは長野県下伊那郡天龍村

長野県の最南端のはじっこにある小さな山間の村です。

愛知県と静岡県との県境でもあり、かっこいい言い方をすると『三國堺(みくにざかい)』とも言われ、長野県とは思えない温暖な気候から「信州に春を告げる村」と呼ばれています。

そして、今の日本では珍しい山間部での生活が残されており、食文化、祭事の風習なども色濃く残っている場所です。ですが、年々人口は減り続けており、高齢化率も県内で1位、全国でも3位というところまで来ており、「限界集落」の称号をいただいております。

しかし、別の見方をしてみれば
長野県は全国1位の長寿県!そこで高齢化率ナンバーワン!日本は世界で一番長寿の国なので
「世界で一番元気なお年寄りがいる村」なのではないか!
「限界集落」ではない!
「元快集落」なんだ!
と、3年ほど前から想いを新たに様々な取り組みを開始しました!

先ほど述べたように天龍村は長野県の中でも暖かい気候で、村の特産物のひとつとして「緑茶」があげられます。緑茶の名産地で知られる静岡の浜松市などとは栽培地形が違うので、普通の緑茶に対し「山茶」と表現することもあります。

そして県内の緑茶品評会で、毎年最高峰に輝くお茶を作っているのが、天龍村の「中井侍(なかいさむらい)」という地域です。地名に侍が入っている!?しかも県内で毎年最高の賞に輝いている!?
「村内にそんなすごいところがあるなんて!ぜひ多くの人に知ってもらいたい!」
そう思い、平成26年には中井侍を会場に大勢の村の人でCMを撮影し、テレビ番組に投稿して見事大賞に輝き、1年間民放で無料放映してもらいました!

このCM作りは中井侍を外に配信することよりも、実は村内の人に向けてメッセージを伝えることが大切なテーマでした。それは「後継者問題にどう、向き合っていくか」ということ。
中井侍のお茶農家さんは70代以上が大奥、村の中でも後継者問題が一番わかりやすく起こる地域であり、今後はより村の人みんなで支え合う事が大切であると意識してもらいたかったのです。

CMの撮影から始まった中井侍の人たちとの交流。僕はますます中井侍を好きになっていきました。この地区を、このお茶畑を、この地区の方々の情熱を残していきたい。そう思うようになり中井侍地区の方々と話し合いの場を持ち、ひとつのプロジェクトをスタートしました。

それが「中井侍には侍おるんじゃー!プロジェクト」
中井侍という地名の「侍」は「お茶畑を引き継いできた自分たちであり、自分たちこそ今後ともお茶畑を残すために奮起した侍だーー!」という熱意が込められています

プロジェクトで実施したのは具体的には3つです。
1、新パッケージの作成 農家ごとに飲み比べできる9種類のお茶

せっかく県内最高のお茶なのに、お茶を詰めるパッケージは市販のどこにでもあるものを使用していました。中井侍のお茶ということが見た目でわからないというのは残念に思えました。
また、この地域の特徴は、地域にお茶の製茶工場があり、各農家さんごとに分けて製茶しているところです。つまり、農家さんの数だけ違うお茶ができあがるんです。同じ中井侍でも、農家さんの栽培方法、標高差でお茶の味は変わってきます。そこを伝えたいなと思ってこんなパッケージをデザインしてみました。

協力してくれた9軒の農家さんごとの名前入りで、9個合わせると中井侍の茶畑の絵になるようにしました。1袋の内容量も30グラムと、普通のお茶よりも少なめになっており、これは何種類か購入してもらい飲み比べてもらいたいという思いがあります。本当に一軒一軒味が違うのがおもしろいです!

2、秘境駅隣接の緑茶カフェ 茶むらいOPEN

中井侍地区にはJR飯田線の秘境駅「中井侍駅」があります。そのホームの真上にあるお家(駅歩3秒)をお借りして6月限定の緑茶カフェ「茶むらい」をオープンしました!

中井侍のお茶を中井侍で楽しめるところがなかったのと、このお家の方が「ここでお茶を飲めるようなところがあればいいなぁ」と以前からもらしていたこともあり、すぐに場所が決まりました!

メニューには各農家さんの名前とお写真が明記されており、もちろん味比べできるコースもあります。

昨年はカフェを目指して来てくれたお客さんもいれば
たまたま秘境駅に遊びにきたらカフェがあったので来てみたというお客さんもいました。

中ではのんびり縁側に座りながら、まったりした時間を過ごすことができます。

昨年まで協力隊だった女の子が店員で常駐しており、天龍村のプチ情報も教えてくれます。

このカフェを通して、中井侍のファンが増えていくといいなー!と思っています。

3、お茶摘みコスチュームも用意!中井侍お茶摘みツアー

そしてファン作りの1番の要がお茶摘みツアーです。6月にお茶摘みツアーを実施し、外部の人に中井侍のお茶を知ってもらい、さらにこの地域の良さを体感してもらうことにしました!

ツアーはまず、秘境駅中井侍駅へ電車で集合します。(駐車場がないため)
そして駅歩3秒の緑茶カフェ「茶むらい」へ移動して、2〜3種類のお茶を試飲します。
自分好みのお茶を決めてもらい、そのお茶が採れる茶畑でお茶摘みを体験できる仕組みです。

茶畑へ移動する前にお茶摘みコスチュームに着替えることが可能です!
この法被のデザインも地域の方が決めたもので、傘も地域のお祭りで実際使っていたものを貸していただきました!腰にぼぼ(小さな腰カゴ)をぶら下げれば準備完了!!いざお茶摘みへ出発!

自分好みのお茶畑へ行くと、そこにはそのお茶畑の農家さんが待っていて、達人が自らお茶の摘み方を教えてくれます。

その間にいろんなお話をしたり、中には摘みたてのお茶の葉をその場で揚げて天ぷらにしてくれるお母さんもいます。

お茶摘みが終わったらお昼ゴハン!村の食材をふんだんに使った村のおばあちゃん達の手作り弁当を、絶景の茶畑を見ながらいただきます!とっても贅沢な時間です。

午後からは自分で摘んだお茶をホットプレートで手揉みします。ここにも地区の達人が教えてくれます。なかなか達人と同じようにはできませんが、自分で摘んだお茶を自分で揉むと、さらに愛情が湧いてきて、自分にとってまさに世界一のお茶になります。

さらにこのホットプレートにもエピソードがあり、これは中井侍に住む七郎平さんというおじいちゃんが地区の事を思い新品を5台も寄贈してくれたものなんです!その思いを忘れないようにホットプレートには「一郎平」〜「五郎平」名付けられています。

最後はツアーの参加者同士で、できたてのお茶を飲み比べます。ツアーが終わる頃には、農家さんとも、参加者同士も仲良くなってしまう、とてもほっこりするツアーなんです。

ツアーが終わった後も、農家さんが参加者の方々に手紙やお茶を送ったり、参加者の方からお歳暮が届いたりと、とても有効的な関係が生まれました。これがお茶が売れるより、カフェに人が大勢来るよりも「中井侍には侍おるんじゃー!プロジェクト」で一番うれしかった成果です。この地区に来て、この地区のお茶を飲んで、この地区の人たちと話したら好きにならないわけないと自信持って言えます。

そして何より嬉しかったのはツアーの反省会を実施した際にとったアンケートで全員が「来年もまたやりたい」と記入してくれたことでした。もちろん反省は山ほどありましたし、我々の準備不足もありました。それでも「またやりたい」と答えてくれたことが何より嬉しかったです。

ある地区の方が話してくれました。
「最初はたぶんみんな、うっとおしいな〜中井侍のお茶は売れなくて困ってるわけじゃないんだから別にいいのに。そんな思いだったと思う。ただな、おまいさん達があまりにも一生懸命だったからな・・・協力しちゃったのよ」

涙が出るほど嬉しかったです。

このプロジェクトで新たな目標も生まれました。
それは地区の秋祭りを復活させるというもの。数年前からできなくなってしまった秋祭りですが、地区の人と中井侍ファンとでもう一回蘇らせることができると思っています。新茶の時期もとてもいい景色ですが、秋の紅葉の時期も中井侍地区は本当に絶景でして、年に2回、違う顔の中井侍も知ってもらえるいい機会になります。それにお世話になった農家さんとまた会うことができるのでまた距離が近くなると思っています。

ここには何もないけどお茶ならどこにも負けないぞ!
そんな頼もしいセリフを笑顔で話してくれる侍達の助太刀をしながらこれからもこの地区に関わらせてもらいたいと思っています。

一度だけ、試しに長野の南の端っこへ来てみませんか?あったかいお茶とあったかい笑顔があなたを待っています。

村澤雄大

村澤雄大

長野県天龍村地域おこし協力隊

2013年7月から天龍村の地域おこし協力隊として活動中。村公認のヒッチハイカーとして村PRヒッチハイク、集落単位の魅力再発掘、ゲストハウス作り、シェアワーキングスペース作り、ホームステイツアーの実施などに取り組んでいる。
村澤雄大

村澤雄大

長野県天龍村地域おこし協力隊

2013年7月から天龍村の地域おこし協力隊として活動中。村公認のヒッチハイカーとして村PRヒッチハイク、集落単位の魅力再発掘、ゲストハウス作り、シェアワーキングスペース作り、ホームステイツアーの実施などに取り組んでいる。